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【連載:APtrikes250 構築記】第3回:山岳路と、不意に訪れた違和感の正体

日田の街中、標高80m。 ストップアンドゴーを繰り返す市街地で、**APtrikes250(250ccモデル)**特有のシーソーペダルによる変速操作にもようやく慣れが見え始めた頃、私は次のステージへと足を踏み入れました。

時刻は17時過ぎ。日没とともに急降下する気温に備え、シンサレート採用のライディンググローブ、バラクラバ、ジェットヘルメットを装備し直し、小国・久住へと続く本格的な山岳ルートへ。初心者マークを掲げた相棒との、過酷なナイトツーリングが始まりました。


1. 【視界不良】屋根付きトライクの弱点、フロントガラスの曇り

山道に入り勾配がきつくなると、真っ先に直面したのは寒さではなく**「視界の喪失」**でした。

APtrikes250は屋根とフロントガラスがあるおかげで、走行風による体力消耗は劇的に抑えられます。しかし、風が入らない密閉空間は、ライダーの吐息によって瞬く間に湿度の檻と化します。

標高が上がるにつれ、フロントガラスの内側が真っ白に曇っていく。純正ワイパーは外側の雨を払うためのものであり、内側の曇りには全く無力です。標高270m、松原ダムで停車しタオルで拭うも、綿繊維の糸くずがガラスに残る始末。 「風が入らない」というメリットが、冬の夜間走行では致命的なデメリットに転じる。 デフロスターのない車両における曇り止め対策の重要性を、身をもって知ることとなりました。

2. 【ルート迷走】暗闇の峠道とナビゲーションの課題

もう一つの課題は、情報の断絶でした。 スマホスタンドからの脱落リスクを考慮し、端末をチェストリグの中に封印していましたが、これが街灯一つない峠道では致命的でした。

杖立温泉を抜け、小国付近でルートを確認した時には、予定していた左折ポイントを大きくオーバー。リカバリーで選んだ「熊本県道南小国波野線」は、次第に久住以上の険しい山岳路の様相を呈してきました。夜の峠道でのルート確認は、安全な停車スペースの確保を含め、事前の準備が不可欠です。

3. 【登坂性能】標高900m、250ccエンジンの実力を検証

黒川温泉を抜け、上り勾配はさらに厳しさを増します。標高700m、そしてやまなみハイウェイと交差する瀬の本高原、標高900m。 暗闇のなか響き渡るのは、Zongshen(ゾンシェン)製250ccエンジンの咆哮だけです。

  • 4速ギヤ: 時速30kmからじりじりと加速。
  • 5速ギヤ: 時速40kmを維持するのがやっと。

「APtrikes250は坂道を登らないのでは?」という不安に対し、一つの回答が出た瞬間でした。制限速度内とはいえ、タコメーター(回転計)のない状態でエンジンの悲鳴を聞き分けながら走る緊張感は、このマシンならではの醍醐味(あるいは苦行)かもしれません。

4. 【ダウンヒル】ベーパーロック現象を防ぐエンジンブレーキ

瀬の本を越え、ここからは竹田市へと一気に下るダウンヒルです。 三輪という構造上、ブレーキへの負担を考慮し、ベーパーロック現象を回避するためスロットルをわずかに開けながらのエンジンブレーキを多用。

試行錯誤の末、カーブの手前で減速し、出口でスロットルを開けるリズムを掴み始めた時、これまで感じていた「違和感」が確かな「操縦感」へと変わっていきました。

標高250m、竹田市会々の街明かりが見えたとき、肺に流れ込む空気の質が変わりました。過酷な環境下での実走を経て、私はこの未完成な相棒を大分まで連れ帰る確信を得たのです。


(次回:第4回「大分帰還、そしてサンデーメカニックの血が騒ぐ」へ続く)

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